会長のご挨拶
日本蘇生学会は,蘇生学の進歩と普及をはかり,学術文化の発展に寄与することを目的に,1982年(昭和57年)に創立, 40年を超える歴史ある学術団体となっています。
本学会は,心肺蘇生のみならず重要臓器の機能不全を回復させるための医学・医療の研究を押し進め,また,この領域の医療を担う人材の育成を目指すと同時に,心肺蘇生法を一般社会に普及し,救命率の向上を図ることを理念・目的に掲げています。
本会の特徴は,学術的な発表,討論の場にとどまらず,生命に関わる蘇生医療の普及に,医師のみならず,救急救命士などのコメディカルスタッフとの協力体制の確立をはかり,さらには,学校教職員や市民に対する蘇生法の教育・実習など,幅広い社会活動を事業として行っている点にあります。
そのような歴史がある本会の第44回大会の会長を拝命させていただけることは,私自身のみならず,私を育ててくれた栃木県足利市にとっても大変光栄なことと考えています。そのような思いで,第44回大会を我が街“足利市”で開催させていただくこととしました。足利市は,皆さんご存じのとおり,日本最古の学校である足利学校がある歴史の古い街です。足利学校は,室町時代から戦国時代にかけて,日本における事実上の最高学府と称され,全国から多くの来学徒があり,足利市において日本の学びの礎が築かれたとされています。そのため,第44回大会のテーマを“学びの「原点」足利で、蘇生を学ぶ”とさせていただきました。
現在,第44 回大会の開催に向けて鋭意準備しています。新型コロナウイルス感染症の蔓延状況が続いている状況ですが,この数年で培ってきた経験を活かし,現時点での開催を計画しております。是非,大会を予定しています足利市の会場までおこしいただき,対面で熱く議論していただければと考えています。
しかしながら,新型コロナウイルスの蔓延状況,会員の皆様の施設のご事情などもあるかと思いますので,開催形式においては,参集できない演者の方々の事前収録,当日現地参加できない方々へのオンデマンド配信などで対応できるよう,ハイブリッド開催といった状況に応じて柔軟に対応していきたいと考えています。
また,例年と変わらぬ活気溢れた会にできるよう工夫を凝らして準備していくと共に,昨今の状況を踏まえ,大会運営事務局の寺島哲二先生(獨協医科大学医学部麻酔科学講座講師)と共に手作りの大会運営を考えております。至らぬ点があるかと思いますが,会員の皆様,教室のスタッフ,足利の関係者と共に実り多き大会を目指していく所存です。多くの参加者から「学びの原点足利で多くのことを学ぶことができた」との声が聞けるよう皆様のご協力を得ながら準備していくつもりですので,何卒よろしくお願い申し上げます。
例年と変わらぬ活気溢れた会にできるよう工夫を凝らして準備していくつもりですで,末筆になりますが、日本蘇生学会が新型コロナウイルス感染症にも負けず,今後さらに発展することを心から祈念しております。
2024年11月吉日
日本蘇生学会 第 44 回大会 会長
山口 重樹
(獨協医科大学麻酔科学講座 主任教授)